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by medichika

突然の再会

「起きてた?」

日曜日の夜、日付が変わる頃に電話が鳴った。
見覚えのある番号。キューピー君だった。

まるで起きていることを期待していなかったような、
電話が繋がったことに少し驚いたような声音。

私が酔った勢いで電話をかけたことはあっても
関係に終止符を打ってから彼から連絡があったのは
この日が初めてだった。


「ごめん、ジンクス壊した」


潤んだ声。泣いているのか、泣いたばかりなのか。
どちらかはわからなくても、涙を流したことはわかった。

私に恋愛のこと話すとうまくいくというジンクス。
今まで破られたことはあまりなかった。
キューピー君すら、何度も危機を迎えつつも
完全に駄目になったことは今までなかった。

「私でよければ話聞こうか? 聞いてほしいなら行くよ?」
「うん、いや、いい。話すことないし」
「本当に?」
「…いや、うん。大丈夫」

「…ったく、そんな声の人をほっとけるわけないでしょうが! 阿呆!」

今から行くから。どこにいるの。
聞けば、好きな人の住んでいる地域。今からタクシーで帰るところだという。

「スヌーピーボウルのシールが家に何点かあるんだ」

涙声のままちょっと笑う。コンビニのキャンペーン。
私が集めていることを彼は知っていた。

「うん、それ取りに行くから」

そういうことにしてあげるよ。
私は今から君の家にシールを取りに行くんだ。



準備をして降りると、まもなく彼の乗ったタクシーが到着。
彼の家に向かうことにした。

3週間ちょっと、ずっと会っていなかった。
最後に話をして以来、久しぶりにキューピー君に会った。

酔ったとき、つい彼に連絡したくなって
かける度に私は機嫌が悪い口調にしかならず。
穏やかに会話するのは久しぶりだった。

何も触れないことが救いになることがあると思った私は
あえて普通のとりとめのない話ばかりをした。

それは家についてからも同じで、
ネットしたりゲームしている彼の傍で
あれこれ大したことのない会話をつらつらと交わす。

ゲームオーバーになったので、ようやく眠ることに。
別の布団で眠るかと思ったけれど一緒の布団に横になった。

久しぶりの腕枕は寝づらくて、
すっかり一人寝がしみついているなと思いつつ
何とか寝やすい体勢を探そうとごろごろ。
彼の寝息が聞こえだしたので、
起こしてはまずいと思うのにどうにも寝つけないので
やはりごろごろ。

腕枕からちょっとはぐれると
引き寄せるような動きがあるのでどうにもならず。
しばらくぼうっとすることに。


ああ。
あの話をする前のような嬉しさはないなあ。


切ないけれど、諦めようと努力している成果が
自分の中に訪れている。だけどくっついていたい気持ちもある。
だけど寝顔を見れば愛しいのだ。やはり。
キスしたくなるくらいに。

だけど勿論することはなくそのまま眠った。
寝つくのも遅かったし、眠った時間も少なかったので
かなりの寝不足。だけど会社に行かなければならない。

目覚ましが鳴り始めたので布団から抜け出して、
帰る準備をしてキューピー君に声をかける。
「じゃあ行くね」

「うん。ありがとう」
寝ぼけたままの声でキューピー君が言う。
「いえいえ、どういたしまして」
本当はおでこにキスくらいしたかったけど、
頭をなでるだけに留めた。

「いってらっしゃい」
「いってきます」

彼の家を後にした。





君が辛いとき、私に連絡をくれたこと。
君が頼ってくれたこと。

私にとっては大事な君だから
そのことを誇りに思う。

キューピー君と好きな人、そして私。
それぞれの関係がどうなるか、今はまだわからない。

だけど、皆幸せになれたらいい。
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by medichika | 2006-02-27 23:13 | 日常